こんにちは、薬剤師の齊藤です。
3回目のワクチンは皆さん打ちましたか?ワクチン接種の時期になるとよくワクチンを打ったあとに抗原検査をしてもよいか質問が多くなります。
今回はそんなご質問に答えていければと思います。
ワクチン接種後でも抗原検査は陽性にはならない。作りだすもの、調べるものが違う
ワクチン接種をして体の中で作っているものと抗原検査で調べるものは実は違いますので、抗原検査で反応が出ることはありません。
それぞれ別のベクトルで考えてもらって構わないものになります。
抗原検査で検出するのは、抗原のNタンパク質
抗原検査は変異株にも幅広く対応していけるようにあまり変異のない部分かつ、そのウイルスに特徴的なタンパク質を抗原として作られています。
コロナウイルス抗原検査は、この性質を持つNタンパク質を抗原として設計されています。
Nタンパク質とSタンパク質のおさらい
どちらもコロナワクチンの一部のタンパク質ですが、性質が異なります。Nタンパク質とは、コロナウイルスに特徴的なタンパク質ですが、変異の少ない部位です。抗原検査キットなどの測定部位として利用されています。
Sタンパク質とは、人間の細胞に侵入する足がかりとなるタンパク質です。人の細胞とSタンパク質がくっつくことで体の中にウイルスが侵入してきます。ここの機能を失活させる効果を持つ抗体が中和抗体です。
詳しい抗原検査の説明は私の以前のブログ「抗原検査キットってなに?」も併せて読んでみてください。
ワクチンが最終的に作り出すものは抗体。Sタンパク質の設計図を体内に入れます。
m-RNAワクチンを接種した後私たちの体のなかでは、m-RNA(Sタンパク質の設計図)をもとに、Sタンパク質が作られ、そして、このSタンパク質に対する抗体がつくられていきます。
要するに、コロナウイルスのワクチンを接種して、体の中で作られるものは「Sタンパク質」と「Sタンパクに対する抗体(中和抗体)」です。
抗原検査で検出するNタンパク質はこのワクチンによって作られないので、検査しても反応はしないのです。
まとめ
このようにワクチンでの作られる対象と抗原検査で測定する対象が違うため、反応することはありません。
抗原検査を実施して陽性が出た場合は、ワクチンとは関係なく、コロナ感染の疑いがありますので、病院に相談してください。